乳腺腫瘤の再検査― 生検について


 乳腺腫瘤が見つかり、悪性の可能性が考えられる場合、針を使った検査(病理学的診断)を行う必要があります。針生検や細胞診と言われるものです。

 当院でもそれらを行っていますが、最近患者さんから“すごく痛いって聞いたから。。。”と言われることが増えてきたように感じます。以前は、そんなこともなかったのですが、検査前にネットで調べると痛い検査だと書いてあったそうで心配顔で受診されます。検査をする側、される側ではもちろん感じ方は違うと思いますが、私が日々検査をする中で、実際検査を受けられた患者さんから伺う痛みの感じ方とは何となく解離した印象があるように感じますので、今日はそのことについて書いてみたいと思います。

 まず“針”を使う乳房の検査には大きく分けて細胞診と組織診があります。

細胞診

一般的な“注射”で使用するような針を使って、病変の細胞を採取する検査です。正常、良性の細胞かまたは悪性の細胞かを診断します。(クラス1~5の5段階 1は正常細胞、5は明らかな悪性細胞)
典型的には乳癌なら“クラス5”、線維腺腫なら“クラス2”と出る。組織型までは断定できない。(ただし、推定組織型として出ることもあります)
 当院では細胞診は良性が強く疑われる場合(多くは患者さん希望をふまえて)、良性であることを確認するために実施することも少しはありますが、実際は乳房にはあまり実施せず、乳癌の患者さんのリンパ節転移が疑われる場合、リンパ節より細胞診を実施することがほとんどです。

組織診

注射の針よりは太い“生検針”を用いて病変をある程度の塊で採取して、その病名を診断する。例えば乳癌なら“乳癌”、線維腺腫なら“線維腺腫”と診断できる。画像で乳癌が疑われる場合は組織診が必要。
 当院では乳癌が疑われる、または良性でも摘出など治療が必要と考えられる病変に組織診を行います。組織診はさらに針生検と吸引式組織生検の2種類あり、通常は針生検を行いますが、病理診断が困難なことが予想される場合など、通常より診断に組織量が多く必要と考えられる場合には針が太めの吸引式組織生検を行っています。

 私の経験上、組織診を行う時に患者さんから強い痛みを訴えられることは多めに数えても10人に1人もいません。乳房の組織診はまず、生検針を入れる部分の皮膚と乳房内の病変の近くに抜歯の時と同じように局所麻酔をします。その後、メスを用い皮膚に5mmまでの切開を入れ、そこから生検針を差し込み病変の一部を採取します。

 この中で、一番痛みを訴えられるのは、局所麻酔をする時のチクチクした痛みです。実際、多くの患者さんはこの時が一番痛くて、その後は“バチンバチンと音がしたけど、痛みはよくわからなかった”とおっしゃいます。もちろん、麻酔の効き方には個人差があり、また乳房の中では乳頭部は他と比べて神経が発達していますので、乳頭乳輪下付近に病変がある場合はその他と比べて痛みを感じることがあるかも知れません。ただし、やはり多くは局所麻酔の痛みを頑張っていただければそれ以降は大丈夫です。安心してください。

 これと比較して、細胞診は注射器で20秒前後チクチク針を動かしながら細胞を採取します。細胞診でも局所麻酔をしている施設もあるようですが、多くの施設では(当院でもそうですが)麻酔はせずそのままチクチクします。どちらかというとこのチクチクの方が時間もある程度かかり、不安も相まって痛みを感じるかも知れません。

 いずれにせよ、例外もありますが“注射のチクチクを頑張る”と思っていただければそんなに怖がる必要はありませんから、リラックスして検査を受けていただくことをお勧めします。