【日々の診療より】~“乳腺分泌“という症状から発見された乳癌の一例~


【日々の診療より】

最近、次のような患者様が当院受診され、乳癌の診断となりました。

40歳代女性、既往歴や家族歴のない患者様でした。職場の乳がん検診で受けたマンモグラフィ撮影圧迫時、技師より黄色透明に近い右乳頭分泌を指摘され、乳腺外科受診を勧められたため当院受診されたそうです。

ちなみに、マンモグラフィの検診結果は両側異常なし、日常生活において下着が汚れるなど乳頭分泌の症状はなかったとのことです。

超音波検査をしたところ、右に異常があり(所見としては右小嚢胞集簇とそれに連続する乳管拡張像)生検を実施したところ非浸潤性乳管癌の診断でした。

○ 患者さんデータまとめ 

  40代女性。既往歴・家族歴なし。検診まで自覚症状なし。

図引用:http://www.kohjin.ne.jp/womens/nyuusen/byouki8.html

【本日の注目点】

乳頭分泌について

最近、インターネットなどでもいろいろ情報が得られるためか、乳頭分泌を主訴に受診される患者様が多くいらっしゃいます。

その中には、いわゆる“乳頭分泌”ではなく、乳頭乳輪部の皮膚が下着などで器械的刺激を受け乾燥、びらんを繰り返すなかで現れる浸出液を“乳頭分泌”と思い受診されることも多いです。これについては皮膚科的治療の対象ですが、自己判断できないこともあると思いますので、乳腺外科または皮膚科を受診し判断していただくことをお勧めします。

乳頭に開口している乳管(乳房内でつくられた分泌物が流ている管)は、片側乳頭に15~20本くらい存在します。その乳頭部乳管から分泌物が出てくる場合を“乳頭分泌”と呼びます。(乳頭を摘むと分泌物が水滴、ミルク滴のように現れます。)

図引用:http://polto.seesaa.net/upload/detail/image/0807-thumbnail2.JPG.html

乳頭分泌はその性状や色調により血性、漿液性、水様、乳汁様、茶色などに分類されますが、特に血性や茶色の場合は分泌物に血が混じっていることがあるため早めに乳腺外科を受診する必要があります。血が混じっている場合には乳癌が存在している可能性があるためです。また漿液性の場合、生理的な分泌であることもありますが、特に片側乳房からのみ分泌がある場合には、その乳房内に何らかの異常が隠れている可能性を考える必要があります。

乳汁分泌(ミルク)、水様分泌については、例えば卒乳後しばらくしてもみられることがあります。また、授乳の経験がないのに乳汁分泌が続く場合は高プロラクチン血症などホルモン異常の可能性もあります。ホルモン異常が疑われる場合は基本的には産婦人科での検査が必要になります。

【今回の患者様では】

今回の患者様の乳頭分泌は漿液性(黄色透明に近い色調)でした。

40歳代で片側乳房の漿液性分泌を呈し、また超音波画像上の所見が小嚢胞集簇と乳管拡張像であったことから、乳腺症を第一に考えましたが、局所的な病変(その部分だけに変化がある)であることから、乳癌(非浸潤性乳管癌)が存在する可能性も考慮し生検を行ったところ、前述の通り乳癌(やはり非浸潤性乳管癌)でした。

特に、片側であることは今回の診断においてのポイントであったと思います。


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