最近の乳癌手術の傾向


 前回、手術を嫌がる患者さんについて書きましたが、実際、乳癌と伝えた時に心配されることは大きく2つあって、まずは病気が治るの?ということと、次にどういう手術をするの?という心配です。病気が治る、治らないについては別の項にするとして、乳房の手術に関しては大きく温存術(部分的に切除)か全摘術(乳房全体を切除)に分けられます。

やはり多くの女性の患者さんは自分のボディイメージが変わってしまうことに強い拒否感を抱きますから、かつては患者さんの生活の質が低下しないように(見た目の変化による様々な問題に困らないように)、また以前は“温存率が高い病院=良い病院”のような風潮もあって、なるべく温存しようというスタンスであったことは事実だと思います。実際、いろいろな医療情報誌などでも温存率ランキングなどの記事が載っていました。80%以上の温存率の施設が多くあったと記憶しています。

しかし、現在ではムリに温存せず、きちんと切除して治療することが見直され、特に数年前に乳癌手術においてシリコンインプラントでの乳房再建術が保険適応になったこともあり、全摘+再建という術式を選択できる施設が増えてきて、現在では温存率は専門的な施設でも50%程度まで下がっています。全摘+再建術は乳房のふくらみを人工物等で再現しますから、全摘術の大きな問題である乳房喪失感をカバーできます。ただ、人工物の場合、現時点ではオーダーメイドではありませんので、以前とそのまま同じ形を期待してしまうと少しハードルが高くなってしまうかも知れませんが。

もちろん、温存率が下がっているとは言え温存術がダメな術式というわけでは全くありません。適切な温存術は良い手術方法のひとつに変わりありません。また、インプラント使用には一定の基準があり、乳腺外科であればどの施設でも使用できるわけではありませんので希望される場合はよく調べて下さいね。


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