マンモグラフィが高濃度乳腺でない方に適した検査方法は?

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このブログでも何度か触れたことがありますが、マンモグラフィの乳腺濃度が高濃度の場合には腫瘤がマスキングされてしまって検出しにくい場合があります。これがマンモグラフィ検査の限界、問題点と言われています。それゆえ『マンモグラフィが高濃度の場合は超音波検査を追加(併用検診)、高濃度でない場合はマンモグラフィ主体の乳がん検診を』という流れになっていると思います。当院の乳がん検診を受けに来ていただいている方にも、そのように説明しています。

 しかし、先日行われた日本乳癌学会学術総会で行われた講演『J-STARTからみたDense Breast対策』において、少なくとも40歳代の女性においては、高濃度か非高濃度かによらず、マンモグラフィに超音波検査を追加した併用検診によって、ベネフィットが得られる可能性が示唆されました。この研究においては、40歳代女性では高濃度乳腺だけではなく、乳腺散在(乳腺濃度が低い、非高濃度)の場合にも、50歳代以上と比較して、がん発見感度が低い傾向にあることが示されました。

 乳がんにもいろいろなタイプがあり、確かにマンモグラフィで乳腺濃度が高くなくても異常は指摘できず、超音波検査で確認できる場合が私の経験上も、ごく一部ですがないわけではありません。しかし、現状の乳がん検診において超音波検査を推奨するような確証はまだ存在せず、このひとつの報告があったからと言って、『40歳代は皆さんマンモグラフィ+超音波併用検診を!』と安易に勧めることはできません。

しかし、40歳代という乳がん罹患率の高い年齢層でこのようなデータが報告されたことは、十分考慮すべき問題です。今後の研究を踏まえて判断することにはなりますが、特に私たちの施設で行っているような任意型検診(自治体以外での乳がん検診はほとんどこれに該当します。)においては、このような報告も含めて説明して、検診を受ける方に判断していただいてもよいのかもしれません。

[参考ページ]
J-START (乳がん検診の比較試験)
http://www.j-start.org/01_entry/j-start/index.html

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