乳がんの初期で症状はあるか

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これは乳がんの初期症??

 昔と比べて、最近では“痛み”や“痒み”と言った症状で乳がんを心配して乳腺外科を受診される方が明らかに増えています。そんな方からよく伺うのが『痛い、痒いと乳がんかもしれないから乳腺外科を受診するように』とインターネットに書いてあったのでということです。

 以前も、このブログで書いたことがありますが、痛みの症状だけで受診してたまたま乳がんが見つかることが当院でもないわけではありませんが、痛いくらい、痒いくらいの乳がんがもし存在するなら、それ以外に乳がんと思われるしこりがおそらく一般の方でもわかるくらいに育っていると思います。

更年期障害と乳房や乳首(乳頭)の痛み

 少し前に、50歳代の患者さんが『痒くて痛いのですが、その症状だと乳がんとネットに書いてあったので』と心配して受診されました。その患者さんは毎年マンモグラフィ+超音波併用検診を受けており、半年ほど前に異常なし、また当院を受診される1ヶ月ほど前にも同じ症状で別の乳腺外科を受診されて問題ないと言われたのですが、やはり乳がんかもしれないと受診したとのことでした。

 1ヶ月前にも検査を受けているので、当院でまた検査するのもどうかとは思いましたが、患者さんから画像での確認を強く希望されましたので、画像で確認しました。やはり、何もありませんでした。何とか、私なりに理解していただけるよう説明してはみましたが、インターネットで医療情報が氾濫しているこのご時世、一般の方がその情報を取捨選択し、正しい理解に繋がっているかは多いに疑問です。

 胃癌や大腸癌、肺癌、他でもそうですが、そもそも早期癌でも痛みでわかるくらいであれば、検診を受けていなくても皆さん早期癌で発見されるでしょう。そうではないから、本当に癌による症状が出てから病院を受診すると、それなりのしっかりした(ある程度進行)病気になってしまっていることが多いのです。そして、その症状がない早期癌、治療すれば十分治る見込みのある癌を見つけるために存在するのが検診なのです。

 私が診療をしていて、自分で乳がんによる症状を訴えて受診され、本当にその方が乳がんである場合、そのほとんどが“しこりがある”です。(他にも、血性乳頭分泌などいくつかはありますが)痛みを訴える方はそれなりに大きなしこりのある方です。また、痒みについては、通常かなり進行して皮膚にも浸潤している(皮膚が赤くなったり、皮膚組織が癌で変化している)くらいの方は訴えることがありますが、単に触れるだけの乳がんくらいでは起こりません。

 とにかく、症状を心配して受診するより、症状がない状態で定期的な乳がん検診を受けることが何より大切なことであると、おそらく乳がんの症状を検索していてこのブログに辿り着いたであろう、私のブログの貴重な読者さんには強く訴えたいです。

定期的な乳がん検診をうけることが大切です

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授乳期に感じる乳房のしこり

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授乳期に感じる乳房のしこりとは

 先日、授乳期の副乳について説明しましたが、授乳中の方で乳房にしこりを訴えて受診される場合も非常に多いです。授乳中は分泌物を産生するために正常な乳腺組織が発達しますので、いわゆる“張った”状態になります。授乳中でない方でも生理前に乳房が“張った”ように感じられる経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。

授乳期にできるワキのしこりについて~副乳とは~


 正常な乳腺組織というものは、人によってはゴリゴリとしこりっぽく触れることも多いと思いますが、授乳中はその乳腺組織がさらに発達しますから、そのゴリゴリが強く感じられるようになります。また、授乳中であれば、乳腺組織は分泌物をせっせと産生しているわけですから、その分泌物の溜まり(嚢胞や乳瘤)がしこりとして触れることもあります。
前に書いたブログで“触診”触ることについて記載したことがありますが、触診より画像検査の結果のほうがよほど信頼度が高い検査方法なのですが、画像検査で異常がなくても心配してしまう方が時々いらっしゃいます。

乳がんの触診について思うこと


 先日、授乳中の方で乳房の一部分にしこりを感じたため、当院以外の乳腺外科で超音波検査をしたところ『特に問題なし』と言われたものの、やはりしこりを触れるのでと受診された方がいました。確かに、右乳房の一部分が“しこり”のように触れはしました。
超音波検査を行いましたが、特に腫瘍性病変や、分泌物の溜まりもなく、患者さんが気になっている部分には発達した正常乳腺組織が存在するのみでした。

 少なくとも、触るくらいの何らかの病変が存在するのであれば、授乳中でも所見が確認できます。希に良性腫瘍の中には正常組織とエコーの“色合い”が似ていることから判別が難しい場合もありますが、やはり触る部分をよく観察すれば判別できることがほとんどです。また、受診する皆さんが心配しておられるのはおそらく『乳がんではないか?』なんだと思いますが、これまで授乳中にしこりを訴えて受診された患者さんで乳がんを見つけたこともたくさんありますが、触れるくらいの乳がんが存在するなら、きちんと超音波検査で乳がんの所見は確認できます。

しこりを触れる=腫瘍性病変が存在するではありませんので、触れるくらいのしこりを気にして超音波検査で問題ないと言われた方がいらっしゃるなら、それ以上は心配しないでよいと思います。もし心配であれば、2つの施設で画像検査をしてもらって同じことを言われるようなら一安心だと思います。

授乳中に超音波検査で問題なければそれ以上は心配なと思われます。

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乳がん検診 マンモグラフィ検診の結果表に「構築の乱れ」と書いてあるけれど

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 乳がんマンモグラフィ検診の所見“構築の乱れ”を指摘され、当院を受診される方が最近目立ちます。その患者さんの多くが、“構築の乱れ”について以前お話しした当院ブログを読んで受診したとおっしゃいます。

乳がん検診 マンモグラフィ検査結果の「構築の乱れ」とは?

前のブログの中で書いたように、残念ながらと言ってよいのか、“本物の構築の乱れ”であることがあまりなく、持参していただいた結果表に“構築の乱れ”と書いてあっても、私自身、正直最近は身構えなくなっていたかもしれません。

そんな中、50歳代前半の患者さんが受診されました。この患者さんはマンモグラフィと超音波の併用検診を受けており、その結果表には【マンモグラフィ→左構築の乱れ“疑い”カテゴリー3、超音波検査→左嚢胞、左石灰化】と記載されていました。以前も書きましたが、マンモグラフィで“本物の構築の乱れ”があった場合(カテゴリー4)、超音波検査では、一目でわかる乳癌の病変が確認できるはずです。

この患者さんは、検診の画像は持参されておりませんでしたので、いつものようにマンモグラフィは構築の乱れがなくて、だから超音波検査でも嚢胞しかなかったんだろうと思いました。通常、マンモグラフィ+超音波併用検診を受けた場合の総合判定の考え方に基づけば(総合判定のことも、以前“せっかく併用検診~”に書いていますのでよかったら読んで下さい。)、この結果だと精密検査にはならないのに。。。無駄な“要精査”だろうなと思いましたが、患者さんには一応、『この超音波検査の結果を考えると、“偽物の構築の乱れ”の可能性が高いけど、“本当の構築の乱れ”があるといけないので、ちゃんと確認しましょうね。』と言って、マンモグラフィと超音波検査を受けていただきました。

 ところが、マンモグラフィを終えたようなので、先に画像を確認したところ、左乳房上部全体にはっきりとした構築の乱れを認めました。このマンモグラフィの結果からして超音波検査で異常がないはずはなく、超音波検査でも左乳房上部全体を占める乳癌の病変がありました。何だか、いろんな意味で複雑な気持ちになりました。
とにかく、やはり“構築の乱れ”の結果があった場合は、必ず乳腺外科を受診してくださいね。

構築の乱れと記載されていたら検診をうけましょう

せっかく併用検診受けたのに

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乳がん検診の結果~超音波検査で乳管拡張~

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乳がん検診の結果乳管拡張症疑いとは

 乳がん超音波検診の所見の代表的なものの一つに“乳管拡張”があります。
 乳管とは、以前にもお話ししたように乳腺で産生される分泌物を乳頭まで運ぶための管であり、乳房内には乳頭から360度放射状に枝分かれしながら存在しています。その乳管は超音波検査でははっきりと確認できないことが多いのですが、例えば分泌が多くなる授乳中にはその中に分泌物が溜まることによって管が拡張し、普段よりはっきりと筋状に見えるようになります。これを乳管拡張と言います。

 授乳期を代表として、生理的な変化として認められることが多く、特に病的なものでないことが多いですが、炎症や腫瘍によって分泌物の流れが堰き止められて起こることもあります。
 炎症性の乳管拡張に、乳管拡張症があります。乳管拡張症は30歳代後半から高齢の方まで(平均は50歳代)に認められ、乳管の閉塞によって炎症が起こり乳管の拡張像を呈するようになりますが、特に症状がなければ治療が必要なものではなく心配ありません。

 一方、拡張した乳管の中に充実成分(腫瘍細胞)が含まれる場合には精密検査が必要になります。この場合、結果表には単なる“乳管拡張”とは書かずに、“乳管内病変疑い”と書いてあると思います。乳管の中にできる腫瘍(しこりと言ったほうがわかりやすいでしょうか)によって乳管が堰き止められて乳管拡張像を呈します。この腫瘍は良性、悪性いずれの場合もありますので、“乳管内病変疑い”と書かれていた場合には精密検査が必要です。

乳管内病変疑いは精密検査が必要です

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授乳期にできるワキのしこりについて~副乳とは~

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 授乳期の方が、ワキにしこりができたと訴えて時々受診されます。その原因としてまず1番に考えるものが“副乳”です。
 人間の胎児期には、そのおなか側のワキから足の付け根にかけて乳腺堤milk lineと呼ばれる左右一対の乳房のもと(表皮隆起)ができます。猫や犬ではこのmilk lineに複数対の乳房を持っていますよね。これは猫や犬が多産であることが大きな理由で、多くの表皮突起が退縮せずに乳房として発達するためです。

 一方、人間は多産ではありませんので、最終的に胸部の一対のみが残り、他の部分は退縮しています。ですので、私たち人間の乳房は通常一対のみ認められますよね。ただし、この退縮が不十分であると、副乳として残存します。
副乳は、成人女性の1~6%程度に認められ、主に前胸部や腋窩、また腹部に出現します。両側性、片側性いずれの場合もあり、乳頭を認めることもあります。副乳には、乳房と同じように乳腺組織が存在するので、ここから乳腺症や線維腺腫などの良性病変、また乳癌が発生することもあります(副乳内癌)。

 授乳期の患者さんがワキにしこりと感じるのは、乳房と同様に腋窩の副乳の乳腺組織も発達していわゆる“張った”状態になるためです。痛みを感じることもあります。それ自体は治療が必要な病気ではありませんので、超音波検査を受けて副乳が存在するだけであれば、特に問題ありません。

 乳がん検診においては、通常両側腋窩も確認するとは思いますが、副乳を指摘されたことがある方は、念のため乳がん検診を受ける際に“副乳があると言われました!”と伝えて、腋窩もきちんと観察していただくようおすすめします。前述したように、副乳内に病変が生じることがありますので。

授乳中は乳房と同様に腋窩の副乳の乳腺組織も発達します

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妊娠中の乳がん検診について

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妊娠中の乳がん検診はうけてよい?

 当院の乳がん検診では、妊娠して何となく乳房が心配になってと受けに来られる方が目立ちます。妊娠期は乳房の張りなど、それまでと違う感覚が出てくるため気になってしまうのではないでしょうか。そのような方からよく質問されるのが、『妊娠中でも検査してよいのですか?』というものです。できるかできないかで答えるなら、できるという答えになりますが、少し雑な答えになってしまいますので以下に説明します。

 まず、マンモグラフィについては、皆さんもご存じの通り放射線を使用した検査ですので、被爆の問題があります。ただし、放射線量としてはごく微量であり、例えば妊娠と知らずにマンモグラフィ検診を受けたくらいでは全く問題になりません。現在使用されているマンモグラフィ装置では、ほとんどが2mGy(グレイ)以下で撮影されています。妊娠初期の被爆による流産や胎児奇形のおそれが出てくる線量は100mGy以上ですから、妊娠中に何十回もマンモグラフィを撮影するというあり得ない状況で、ようやく影響が出てくるかもしれないというレベルです。心配はありません。ただし、他の多くの施設でもそうだとは思いますが、不必要な被爆は避けたほうがよいですので、当院でも乳がん検診においては、妊娠が判明している方に対してのマンモグラフィ検査は行わないことにしております。

 一方、超音波検査については、産婦人科で妊娠中に行う検査であることからもわかるように、乳がん検診で問題なく行える検査方法です。人それぞれではありますが、一般的には授乳期と比べると妊娠期のほうが画像も判断し易いことが多いです。授乳期には乳腺組織が発達することから、非授乳期と比べて腫瘤等の病変と正常組織との境界がわかりにくくなってしまうことがあります。

 もし、妊娠を契機に乳がん検診をしてみたいと思っておられる方には、産後落ち着いてからではなく、妊娠しているうちに超音波検診を受けてみることをおすすめします。またその場合、妊娠後期より妊娠初期のほうがより画像がわかりやすいです。

妊娠中はエコー検査

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更年期障害に関連した症状と漢方薬について

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 私は学生時代に漢方研究会に所属していたこともあり、乳癌の治療を行っていくに当たって時々遭遇する症状に漢方を処方したり、また自分自身の体調変化に対しても漢方を試して自分のカラダに合うと感じたものを取り入れたりしています。
当院のスタッフにも体調の変化があり、症状を聞いた上で処方してみたところ、効果が感じられたと元気にしているものがおります。

 特に当院のようなクリニックで乳腺外来をしていると、乳腺外科的な症状とは言い難い症状を訴えて受診される方が多くいらっしゃいます。乳房の張りや痛みを主訴に受診され、念のためマンモグラフィや超音波検査をしても、症状に一致するような所見がないことがほとんどです。乳房が痛い、張ると本人が感じていても、本当にそれが乳房由来かどうかはなかなか判断しにくいものですが、その症状が乳腺外科的な疾患による症状であれば、少なくともマンモグラフィか超音波で容易に診断できます。

更年期の症状の場合はどうしたら

 検査で異常がない場合には、乳腺外科的な疾患とは言えず、やはり別の原因を考えるのが妥当で、例えば乳房の近くにある筋肉の張りや、神経痛など病的と言えるかは怪しいところですが整形外科的な問題であったり、また希には心臓など循環器的な異常で乳房を痛いと訴える患者さん、また関節リウマチなどの自己免疫疾患による関節炎からの痛みを乳房の痛みと感じて受診される方も実際いらっしゃいます。そしてもう一つ、以前も書きましたが更年期障害の不定愁訴の一つとして乳房痛や乳頭部痛という症状があります。

 更年期障害は、いろいろな科の異常がないことを確認した上で産婦人科医によって診断されるべき疾患ではありますが、当院を上記のような症状で受診する方に細かい症状を伺うと、更年期障害の症状ではないかなと想像する方が多くいらっしゃいます。

 私もそのような年齢になってきていますが、特に画像などで異常がなくても、何だか体調に波があったりしますよね。例えば抑うつ状態だとか、ホットフラッシュがひどいなどホルモン補充療法が必要な重い症状ではなく、何となくあそこが痛い、ここが痛いなどの症状があった場合は、一度漢方を試してみるのも私の経験上おすすめですよ。

 もし、乳房痛が心配な方は一度受診していただき、乳腺に問題がないことを確認した上で、症状によっては適宜産婦人科に紹介させていただいておりますのでご相談ください。

更年期障害の対処方法のひとつ

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乳がん治療の化学療法について

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 浸潤性乳がん(ステージⅠ以上)の治療方法は手術療法、薬物療法、放射線療法などをその患者さんの病状に合わせ組み立てて決定します。この治療方法を決める際に必要な情報は大きく2つあり、それがステージ(病期)とサブタイプです。

浸潤性乳がんの治療方法

これについては、昨年ブログでその基本的なことを書きました。現在、基本的にはこの2つを総合的に判断して治療方針を決定しています。

ステージとサブタイプ

手術、放射線、薬物療法でもホルモン療法(内分泌療法)については、このステージとサブタイプからほとんどの場合迷うことなくその治療をするかしないか判断できますが、ただ、薬物療法のひとつである化学療法(一般的には“抗癌剤”と呼ばれています。)については、手術が終わって様々な病理所見もそろった後でも、化学療法を上乗せするかしないか判断に迷うことが時々あります。

 そのような時に、保険診療の範疇の検査ではありませんが、主治医によってはOncotypeDXという検査を提案してくださることがあると思います。

OncotypeDX検査は、がん組織の21遺伝子の発現を調べることで乳がんの個別の性質を分析する検査です。がん遺伝子の分析結果から、再発スコア(0から100)を計算し、10年以内に再発する可能性、またその患者さんについて化学療法がどれくらい有効かの情報を提供するものです。再発スコアは高値であればあるほど再発リスクは高くなる、つまり化学療法の上乗せが望ましいことを示します。また、今年の2018年6月には米国臨床腫瘍学会でOncotypeDXについての新しい研究結果が発表されました。世界中で診断される乳がん患者の半数である、ホルモン受容体陽性(ホルモン療法有効)、HER2受容体陰性(抗HER2薬無効)、リンパ節転移陰性の患者さんの70%にあたる、再発スコア0から25の50歳を超える女性、および0から15の50歳以下の女性患者さんにおいては化学療法が省略可能であるという結果でした。

 この結果はOncotypeDXを調べることで、その患者さんにとってより良い治療方法を選択できる大きな手助けになることを示すものと言えます。現時点では高額な検査であるため、提案されたからと言って患者さん皆さんがやってみようと思える検査ではないかもしれませんが、患者さん自身が化学療法に迷われている場合、OncotypeDX検査にて積極的な治療方針の自己決定の一助になるかもしれませんね。

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乳がん検診はエコー、マンモグラフィのどちらをを選べばいいの?

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はじめての乳がん検診
 当院の乳がん検診・ドックを受けに来ていただく方の中には、初めて乳がん検診を受けてみようと思い受診したという方が結構な割合でいらっしゃいます。

 検査を始める前に、その方が選択された検査方法が気になることがたまにあり、ちょっとアドバイス、確認してから検査を始めることがあります。
 乳がん検診の検査方法には代表的な2つの検査方法(マンモグラフィ、超音波検査)があります。これらはその人の年齢や乳房の大きさなどによってもより良い検査方法が違いますが、私の印象としては、超音波が一番よい検査と思っている方が多いこと、またそもそも何を選択したらよいかわからないという方、さらには最初に受けた検査をとりあえずそのままずっと選択している方も多いと感じます。せっかく乳がん検診を受けるのであれば、その方にとってより良い検査方法を選択することで、異常所見の検出能も上がります。

 以前にも書いたと思いますが、乳がんの可能性がある代表的な所見として、“腫瘤”と“石灰化”の2つがあります。ざっくり言うと、この両方を検出できる検査がマンモグラフィです。一方、超音波検査は一般的には“腫瘤”の検出を得意としていますが、“石灰化”の検出は苦手です。ただ、あくまでざっくり言えばの話しで、超音波検査よりマンモグラフィの方が腫瘤を検出し易い場合もあります。
 特に、大きくて軟らかな乳房の方についてはマンモグラフィの方が腫瘤もわかりやすいことが多いです。つまり、腫瘤がマンモグラフィで検出し易い方はマンモグラフィ単独の検診で問題ありませんが、そうでない場合にはマンモグラフィを補う意味で超音波との併用検診を行うことが望ましいです。

 当院の乳がん検診・ドック(当日医師診察あり)を受けていただいた方には、その方にとって今後どのような受け方が望ましいか、詳しく説明させていただいておりますので、このブログをご覧いただいている方で、受け方が分からないなぁと思っていらっしゃる方は、一度当院の乳がん検診・ドックを受けていただければと思います。
 なお、乳がん検診の一般的な検査選択方法については、当院ホームページに記載させていただいておりますので、検診を受ける際に参考としていただければと存じます。

※現在、日本の乳がん検診は“40歳以上の女性、2年毎のマンモグラフィ検診”が推奨されています。この方法で乳がん検診を行った場合、乳がんによる死亡率の低下が明らかであるためです。多くの自治体ではこの推奨レベルをふまえ、40歳以上の女性に2年毎無料クーポンなどを配布していると思います。

ドクター乳がん検診の選び方について

当院ホームページ参考サイトはこちら

乳がん検診・ドック

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良性腫瘍「葉状腫瘍」とは

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葉状腫瘍_しこりが急に大きくなってきた

 乳腺にできる良性腫瘍にはいろいろな種類があります。その中で、線維腺腫はもっとも多い良性腫瘍のひとつで、超音波検診を受けると結果表によく記載されており、皆さんも一度は聞いたことがあると思います。

 この線維腺腫と画像上、また組織学的にも類似した良性腫瘍に葉状腫瘍があります。両者の相違点としては、線維腺腫は15~35歳と比較的若年者に多いですが、葉状腫瘍は35~55歳のやや高年齢層に多く、また急速に増大することがあります。
線維腺腫は基本的に良性ですが(以前も書いたように思いますが、ごくごくまれ0.02%程度の癌化の可能性はあります。)、葉状腫瘍は良性、境界型(ボーダーライン)、悪性に分類され、その50%以上は良性ですが、局所再発が良性でも20%以上、ボーダーラインや悪性になるとその割合はより高くなります。

葉状腫瘍と診断された場合は原則外科的切除となりますが、局所再発を繰り返すたびに悪性度が上がるとも言われており、切除の際には局所再発を防ぐため、腫瘍に十分なマージン(のりしろ)をとって切除する必要があります。
一方、線維腺腫も4~5cm大、または急速増大する場合には切除しますが、基本的には腫瘍部分を切除すればよいので、同じ大きさの腫瘤でも、葉状腫瘍と線維腺腫では切除範囲が違ってきます。

 悪性葉状腫瘍は25%程度あると言われていて、この場合は肺や骨などに遠隔転移することもあります。治療方法は、現時点では確立したものがあるわけではありませんが、肉腫に準じた化学療法、あるいは放射線療法などが選択されます。

 確定診断をするにあたっては、一般的に用いられる針生検では葉状腫瘍の40%程度が良性病変として過小評価されていると言われており、多くは線維腺腫と診断されます。より多くのボリュームを採取できる吸引式組織診や外科的な摘出生検でようやく正確な診断が可能な場合があります。当院でも、葉状腫瘍の可能性が否定できない場合は、針生検ではなく、吸引式組織診を行うようにしています。

葉状腫瘍の50%以上は良性となります

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当ブログについて

JR東京駅徒歩4分・地下鉄日本橋駅徒歩1分、AIC八重洲クリニック 乳腺外科のブログです。 乳腺外科医が、乳がんなどの乳房・乳腺の疾患について、わかりやすく解説いたします。
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