乳がん治療で手術しない方法は?

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一昨年、当院で乳がんと診断したが手術を受けたくないとご自身でいろいろな方法を探しておられた方について書いたと思います。

現在の乳がん治療においては、手術できる段階(ステージ)であれば病気を治すための根治術を実施する、手術で治る見込みのない段階になってしまっている進行がんでは根治術は行いません。これが基本です。“手術ができる=治る見込みが高い”わけですので、手術を受けることが望ましいですし、多くの乳がん患者さんは手術を受けておられると思います。

ただ、乳がんと診断され、かつ手術ができる段階である患者さんの中には手術以外の方法で何とか治らないかと治療方法を探す方が少ないですが時々いらっしゃいます。
先日、当院で針生検を実施したところ乳がんの診断となった30歳代の患者さんから、手術以外の治療を受けたいので、お勧めの施設に紹介してもらいたいと相談がありました。

手術をしない方法の代表としては、ラジオ波焼灼療法(RFA)、凍結療法、収束超音波療法等があります。しかし、いずれも現時点でそれらは確立された標準治療には入っておらず、先進医療制度下での実施や治験レベルでの実施です。中には局所再発率が低いなど良い研究データが存在する方法もありますが、その適応(どんな病状の患者さんに行うか)や手技(医師のスキル)などの検証も十分とは言えないことから、乳がんに対して一般的に推奨されている治療方法ではありません。

ですから、その治療方法を実施している施設においてメリットとデメリット、現在までにわかっているデータ等十分説明を受けた上で、選択するかどうかご自身で判断することになります。もちろん、この中から今後標準治療として確立される方法があるかも知れませんが、患者さんにも上に書いたようなことを説明して、少なくとも“手術したくないから手術しない”という選択だけはしないよう、十分吟味するように伝えました。

[過去記事]

乳がんでも手術したくない

[参考ページ]
日本乳癌学会
患者さんのための乳癌診療ガイドライン
Q12.標準治療とは何ですか。また最善の治療を受けるコツは何ですか。
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g3/q12/

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