マンモグラフィ検査も受けておいたほうが良い?

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先日、30歳代後半の方が当院の乳がん超音波ドックを受けに来られました。超音波の結果は異常なしでした。当日私からの説明付きでしたので、検査結果異常なしの旨説明する中で、日本の主に自治体で行う対策型乳がん検診では40歳以上2年毎のマンモグラフィ検診が推奨されていること、この患者さんの場合、しこりをつくるタイプの乳癌は超音波検査で検出しやすいこと、ただし乳癌にはしこりをつくらない“石灰化”としてのみ検出可能なタイプもあり、それは多くの場合マンモグラフィでしか検出できないことなど説明させていただきました。私としては30歳代でもそのような乳癌がないわけではなく、当院のような任意型検診をしている立場としては、マンモグラフィで石灰化がないかも時々は確認したほうが望ましいと思っています。

ただし、特にドックはもちろんタダではありませんから、私から“絶対今日受けていったほうが良いです!”なんてちょっと言いにくいことでもあります。でも、この患者さんとはわりとざっくばらんにお話しが出来て、またかなり遠方の他県から来院していただいたこともあり、『せっかく来たから受けて帰ります。』と追加のマンモグラフィ検査を希望されました。そしてマンモグラフィを実施すると、非浸潤癌を強く疑う区域性石灰化カテゴリー4の所見を認めました。もちろん、患者さんも私もびっくりです。すぐに、石灰化の精密検査が可能な専門病院へ紹介させていただきました。癌疑いの所見が出るより出ないに超したことはありませんが、非浸潤癌はほぼ根治可能な段階ですので、今回説明をする中でうまくマンモグラフィ検査に繋がり、発見できて本当によかったと思いました。

当院を受診される患者さんに伺うと、多くの方が『マンモグラフィより超音波の方が良い検査』と思っていらっしゃる印象があります。事実、ある程度の年齢以上でもマンモグラフィはほとんどしたことがなく、超音波検査のみで乳がん検診を長い間行っている方が割と多くいらっしゃることに私としてちょっと驚いてしまいます。会社などの一般健診にセットで含まれる乳がん検診には超音波検査が多いことにも起因しているのでしょうか。また、マンモグラフィは痛みを伴うことや、何らかの媒体でマンモグラフィでは見えないしこりもあるなどザックリ伝えられていることもあり敬遠されてしまうのでしょうか。少なくとも、わざわざ当院で乳がんドックを受けて頂いた方には、正しい理解を得て帰っていただけるような説明を心がけています。超音波検査はしこりが検出し易いということも、乳房の性質(脂肪性分が多いか少ないか)にもよります。超音波よりマンモグラフィの方がしこりが検出し易い乳房のタイプまた腫瘤のタイプもあります。

乳がん検診は定期的に受けているが、これまで超音波検診しか受けてなかったというある程度の年齢の方には、次回は是非マンモグラフィも受けて頂くようおすすめします。せっかく検診を受けておられるなら、適切な検査方法を選択していただきたいと思います。

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