リンパ浮腫とは?

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リンパ浮腫

 乳がん手術後の後遺症、また進行してしまった乳がんの患者さんの中には“リンパ浮腫”の症状で悩んでいる方が少なからずいらっしゃいます。例えば、右乳がんの患者さんでは、右上肢に浮腫(むくみ)が起こります。

 血管系(動脈や静脈)は血液を運ぶ管であることは皆さんご存知ですね。一方、リンパ管系(リンパ管、その途中に節々のようにあるリンパ節)とは、その血管系から血管外に漏れてしまった液体成分をリンパ液として回収し、鎖骨近くの静脈、血液成分に戻す役割を担っています。栄養状態が悪い、また健康状態が良くないと、血管内に液体成分を保てず漏出しやすく、またその漏出した成分をリンパ管系で血液内に戻すという健康な働きが弱まってしまいます。身体の状態が良くない方の手足がむくんでいたり、腹水が溜まってしまうことをご存知の方も多いと思います。健康な方でも、疲れた時や具合が良くないときには足がむくんだ経験があるのではないでしょうか。

 乳がんの患者さんでは、リンパ液を輸送するリンパ管が手術時のリンパ節切除により遮断される、あるいはがんが進行してがん細胞によってリンパ管やリンパ節が堰き止められることで起こります。乳がんの場合は腋窩リンパ節付近が障害されやすいため、上肢に浮腫が生じます。
 “リンパ”と聞いて“免疫”と思い浮かぶ方もいらっしゃると思いますが、リンパ管系は体の免疫機能もつかさどっています。ですから、その働きが低下して浮腫が起こると感染に弱くなってしまいます。ほんのちょっとの傷も治りにくく、蜂窩織炎に発展します。また、滞っているリンパ液が体表に漏れ出るリンパ漏を起こしたりもします。これらがいったん起こってしまうと、なかなか改善しにくいため、日ごろのケアが重要になってきます。清潔保持、防御機能を保つためのスキンケア、リンパ液の流れを促すリンパドレナージ、ミトンやスリーブを使った圧迫療法を行い、リンパ液の滞留を防ぎます。また、症状の重症化、感染を防ぐためには、皮膚を傷つけないことが重要になります。

 リンパドレナージについては、エステなどで痩身目的に行われているような方法は強度が強すぎます。乳がんの患者さんで問題になる体の表面にあるリンパ管系に対しては、おそらくみなさんがイメージしているゴシゴシするドレナージではなく、力をかけずに優しく、時に緩やかな圧刺激をかけるくらいのソフトなものです。
以前、リンパ浮腫のドレナージ講習会に参加したことがあるのですが、適切な方法を知らないと逆に悪化させてしまうのではと痛感したことを記憶しています。もし悩んでおられる患者さん、ご家族がこのブログを読まれていたら、適切なドレナージを大切な方に行っていただくよう講習会などに参加することをお勧めします。 

[参考ページ]
国立がん研究センター がん情報サービス
リンパ浮腫
https://ganjoho.jp/public/support/condition/lymphedema.html

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