ステージとサブタイプ
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乳癌の治療方法は手術療法、薬物療法、放射線療法などをその患者さんの病状に合わせ組み立てて決定します。この治療方法を決める際に必要な情報は大きく2つあり、それがステージ(病期)とサブタイプです。
ステージは簡単に言うと、体の中のどの範囲に癌が広がっているかを示します。例えば乳房のしこりが2cm以下で、リンパ節や他の臓器に転移がなければステージⅠ(浸潤癌の場合)、また他の臓器、例えば骨や肺などに転移があれはステージⅣになります。(ステージは0~Ⅳまであります。)
これとは別に、1つ1つの癌細胞の性質をタイプ別に示したものがサブタイプです。ホルモン療法が効くか効かないか、また抗ハーツー薬が効くか効かないか、これに加え増殖能が高いか低いか(癌がおとなしいタイプかエネルギーの高いタイプか)を調べてこのサブタイプは決まります。ステージ(乳癌の広がり)とサブタイプ(乳癌の性質)は全く別の要素ですから、例えば同じステージでもサブタイプはいろいろです。
以上の2つをふまえて治療方針を決定するので、例えば同じステージⅠなら手術は必須ですが、薬物療法についてはある患者さんはホルモン療法だけ、別の患者さんは化学療法だけ、また別の患者さんはどちらもすると違ってきます。(※手術が出来るかどうかは乳癌の広がりを示すステージで決まります。)
以前、私が病院勤めをしていた時、ある患者さんから『友達がステージⅠで、ホルモン療法をしたって聞いたから私も同じですよね。』という質問をされたことがあります。その方のサブタイプはトリプルネガティブだったので、ホルモン療法ではなく化学療法をする必要があることを伝えると、ホルモン療法だけだと聞いて本人は安心していたそうで、そうでないことに初めはがっかりしていたことを記憶しています。同じ乳癌でも治療方針は患者さんそれぞれです。
細かいことを書くと混乱すると思うので、とにかく乳癌の治療は基本的にはステージとサブタイプの2つの要素から治療方法を組み合わせることを憶えておいてくださいね。ただし、乳癌の治療は日進月歩で進んでいますから、あくまで現時点でのお話です。