乳がん化学療法の副作用と漢方薬
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乳がん患者さんにおいては、病気自体による症状と治療を行うことでおこる副作用による症状があります。それらの症状に対して、主治医からいろいろな薬剤が処方されると思いますが、漢方薬の中にも乳がん治療の一助になるものがたくさんあります。
例えば、乳がんの初期治療としての抗癌剤(術前または術後補助化学療法)においても、また転移再発した場合でもよく使用されるタキサン系薬剤(パクリタキセルやドセタキセルなど)で、患者さんが一番悩まされる副作用があります。それは、末梢神経障害です。
末梢神経障害は特に手先や足先がしびれたり、ひどい神経痛がでたりして、患者さんの日常生活を困難にすることがあります。もちろん、それほどの症状が出ない方も多いですが、中には耐えられない痛みやしびれが出てしまい、乳がんに対して十分な効果が得られているにも関わらず、薬剤を減量したり、薬剤変更の必要性が出てしまうことがあります。
効果が得られているのに、副作用で減量や変更を余儀なくされるのはもったいないことですよね。この末梢神経障害によく使われる漢方薬が、芍薬甘草湯です。もちろん、西洋薬にもこれらの症状に有効な様々な治療薬がありますが、西洋薬で効果が乏しい場合や、はじめからでも漢方薬で対応して十分な効果が得られることもあります。また、化学療法では粘膜障害により、口内炎や下痢に悩まされることも多くあります。
例えば、口内炎に対しては通常のうがい薬を処方されることも多いと思いますが、半夏瀉心湯を含み飲みすると早く治ったりもします。ちなみに、私も先日季節の変わり目だからなのか、風邪を引いたりして口内炎もひどくなってしまったことがあり、初めて半夏瀉心湯を使ってみたら、確かに普通のうがい薬よりびっくりするくらい早く良くなりました。
医師は、患者さんに処方している薬を自分も使っている訳ではないので、私が主治医をしていた患者さんからの『良く効いたよ!』という言葉を、今回初めて実感しました。
[参考文献]
日系メディカル
化学療法アップデート:漢方薬を駆使したがん治療の有害事象の緩和
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/cr/201104/519440.html
化学療法全般について(国立がん研究センター がん情報サービス)
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/attention/chemotherapy/about_chemotherapy.html