乳がん検診の結果~マンモグラフィ検査:石灰化とカテゴリー
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先日、ある患者さんが検診マンモグラフィで『石灰化、B判定だったのですが心配で』と受診されました。この患者さんのマンモグラフィを確認すると、両側に数粒の中心透亮性石灰化(粒が大きめで中心部が透けている)、検診の判定通り明らかな良性所見でした。
この患者さんも指摘されたように、マンモグラフィ検診でよく指摘される所見のひとつとして“石灰化”があります。簡単に言うと、カルシウム成分の沈着ですが、乳腺組織は分泌物を産生する組織ですから、分泌物の中に含まれるカルシウム成分が画像上認められることがあります。これまでマンモグラフィ検診を受けたことがある方なら、検診の結果表にそう言えば“良性石灰化”と書いてあったかなと多くの方が思われるのではないでしょうか。
石灰化のほとんどは生理的な活動の中で生じるカルシウムの沈着(良性石灰化)ですが、同じ石灰化と言っても一部は乳癌により生じることがあります。乳癌による石灰化が疑われる場合には再検査となるわけですが、その良悪性を画像上どう鑑別するかと言うと、①一粒一粒の形(形状)と②広がっている範囲(分布)を総合的に判断してカテゴリー分けをします。画像上明らかな良性石灰化と言える場合はカテゴリー2、乳癌が強く疑われる場合にはカテゴリー5と、2~5の4段階に分類し、カテゴリー3以上で再検査が必要となります。
ちなみにカテゴリー3はほぼ良性が疑われるが悪性の可能性も否定できないというような意味合いで、カテゴリー3の石灰化である可能性は概ね5-10%と言われています。(カテゴリー3をさらに経過観察対応と生検での確認を必要とする2段階に分けることもあります。)以前は、カテゴリー3以上の石灰化が見つかるととにかく生検で確認するということもありましたが、カテゴリー3の石灰化については、ある程度経過をみて変化するようなら生検をするという流れになってきています。
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