乳がん検診の結果~超音波検査で乳管拡張~
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乳がん超音波検診の所見の代表的なものの一つに“乳管拡張”があります。
乳管とは、以前にもお話ししたように乳腺で産生される分泌物を乳頭まで運ぶための管であり、乳房内には乳頭から360度放射状に枝分かれしながら存在しています。その乳管は超音波検査でははっきりと確認できないことが多いのですが、例えば分泌が多くなる授乳中にはその中に分泌物が溜まることによって管が拡張し、普段よりはっきりと筋状に見えるようになります。これを乳管拡張と言います。
授乳期を代表として、生理的な変化として認められることが多く、特に病的なものでないことが多いですが、炎症や腫瘍によって分泌物の流れが堰き止められて起こることもあります。
炎症性の乳管拡張に、乳管拡張症があります。乳管拡張症は30歳代後半から高齢の方まで(平均は50歳代)に認められ、乳管の閉塞によって炎症が起こり乳管の拡張像を呈するようになりますが、特に症状がなければ治療が必要なものではなく心配ありません。
一方、拡張した乳管の中に充実成分(腫瘍細胞)が含まれる場合には精密検査が必要になります。この場合、結果表には単なる“乳管拡張”とは書かずに、“乳管内病変疑い”と書いてあると思います。乳管の中にできる腫瘍(しこりと言ったほうがわかりやすいでしょうか)によって乳管が堰き止められて乳管拡張像を呈します。この腫瘍は良性、悪性いずれの場合もありますので、“乳管内病変疑い”と書かれていた場合には精密検査が必要です。