乳がん検診は超音波が一番良い?

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先日、50歳代後半の方が当院の乳がん超音波ドックを受けに来院されました。かなり前にマンモグラフィ検診を受けたことがあり、その時に痛みが強かったこともあって最近は乳がん検診から遠ざかっていたそうです。

超音波検査の結果は異常なしでしたが、超音波でみる正常乳腺構造からは、おそらくマンモグラフィ検診のほうがより適切な、脂肪成分がほとんどを占める乳腺(マンモグラフィでいう“脂肪性乳腺”)でしたので、今後はマンモグラフィを主体とした乳がん検診が望ましい旨説明させていただいたところ、『この前、テレビで超音波が良いって言ってましたよ。マンモは痛いですし。。。』とおっしゃいました。どのような説明を番組内でしていたかは不明ですが、この方の受け取り方は“超音波が一番良い検査”のようでした。

自治体から送られてくる乳がん検診のクーポンは、その多くがマンモグラフィ検査を対象にしていると思います。マンモグラフィと超音波検査を選択できる自治体もチラホラありますが、現在多くの自治体ではマンモグラフィによる乳がん検診を行っていると思います。これは、確実な裏付けのもとに自治体で行う対策型検診では“40歳以上、2年毎のマンモグラフィ検診”が推奨されているからです。もし超音波検査が一番よい検査であるなら、当然超音波検診を行っているはずですよね。

当院で行っている乳がんドック(任意型検診)でもそれに準じた方法でおすすめしており、40歳代以上ではまずはマンモグラフィをと説明しています。なぜマンモグラフィがよいかと言うと、“腫瘤”と“石灰化”という2つの主な異常所見を検出できるからです。ただし、前にも書いたと思いますが、マンモグラフィでは乳腺濃度※1によって“腫瘤”が見えにくいことがあり、マンモグラフィで腫瘤が見えにくい方については、それを補うために超音波検査を併用したほうがよいのではないかという流れになってきています。マンモグラフィで腫瘤が見やすい乳腺濃度であれば、マンモグラフィ検診のみで十分です。

一方、石灰化検出は通常の超音波検査は不得意であり、今回超音波ドックのみ受けにきていただいた方に石灰化病変で見つかる乳癌がある可能性は否定できません。また、腫瘤についても、脂肪性乳腺の場合はマンモグラフィの方が見やすいこともあります。(超音波は脂肪が苦手です。)

マンモグラフィは確かに痛みを伴う検査ですので敬遠されがちですが、とてもよい検査方法ですので、ある程度の年齢の方で超音波検診しか受けたことがない方がいらっしゃいましたら、次回は受けるようにしてくださいね。

※1マンモグラフィの乳腺濃度については、以前のブログ2017年7月に『マンモグラフィと背景乳腺濃度』に詳しく書いています。良かったら読んでみてください。

マンモグラフィと背景乳腺濃度

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