充実性腫瘤とは
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先週の乳腺腫瘤に関連して、今週は“充実性腫瘤”について少しだけお話ししたいと思います。この所見を指摘された方からよく伺うのが、『ネットで調べたら乳がんの可能性があると書いてあったので心配。。。』ということです。
充実性腫瘤=乳がんの可能性が高いと思って受診される患者さんが多いです。でも、そんなことはありません。
腫瘤とは正常組織とは異なる何らかの塊があることを前回説明しましたが、その中でも充実性腫瘤と指摘されて受診する方が多いです。超音波検査で腫瘤を分類すると、嚢胞性、充実性、混合性の3パターンに分類されます。嚢胞性腫瘤はその内容が液体成分と考えられるもの(その多くは単純性嚢胞です。)、充実性腫瘤は何らかの細胞成分で満たされているもの、通常は腫瘍細胞と考えます。そして混合性腫瘤は嚢胞成分および充実成分の両者を含むものを言います。混合性や充実性腫瘤の場合、その細胞成分は良性または悪性の腫瘍細胞のどちらかを考えなくてはいけませんから、その腫瘤の細かい所見から、カテゴリー付けをして精密検査に回すかどうかを判断します。
乳がん超音波検診で乳腺腫瘤を指摘されたことがある方は、このブログを読んでいただいている方にも結構多いと思います。乳腺に嚢胞や何らかの良性腫瘍による腫瘤を認めることはよくあることです。良性腫瘍でもサイズが大きかったり、また種類によっては治療(手術)が必要であったりもしますが、そうでなければ特に治療の必要はありません。腫瘤をカテゴリー付けしてカテゴリー3以上(少しは乳がんの可能性を考えなくてはいけない)であれば、経過観察以上のことがようやく必要となります。前にも書きましたが、どう頑張ってもカテゴリー2(明かな良性)しか付けられない腫瘤でも、検診では要精査となっていることも非常に多いです。
充実性腫瘤=乳がんではありませんので、必要以上の心配はせず、要精査となっていたらまずは乳腺外科を受診してくださいね。
[参考文献]
日本乳癌学会 患者さんのための乳癌治療ガイドライン
Q7. 乳房のしこりの診断はどのようにするのですか。がん以外の乳房のしこりにはどのようなものが ありますか。
https://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g2/q07/
MSDマニュアル家庭版 乳房のしこり
家庭版 22. 女性の健康上の問題 乳房の病気