忙しい方こそ乳がん検診を受けたほうが良い!?
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乳癌は今や日本人女性の11人に1人が罹患するといわれるほど、昔と比べると患者さんが増えている病気の一つです。診療をしていると『何をすると乳癌にならないですか?』とか『○○をしたから乳癌になったのでしょうか?』などよく質問されます。この前、乳癌と診断した患者さんから、『4本足の動物のお肉を食べているから乳癌になったのでしょうか?』と質問されました。以前も患者さんから同じことを言われたことがあり、よくインターネットに書いてある情報だそうです。
喫煙、運動や脂肪食などのライフスタイル、または一部の遺伝子異常など乳癌発症との関連性に確かな裏付けがある因子もあります が、多くの患者さんでは様々な因子が複合的に重なりあって“乳癌”という結果を招くと考えるのが妥当で、何かひとつに原因を求めることは困難です。
“適度な運動と健康的な食生活を!そして定期的な乳がん検診を” という誰でも言えそうなこと、生活習慣病を扱う外来や一般健診でも言われそうなことが、乳癌を心配される方へのアドバイスとして現時点で最善なものではないでしょうか。
ただ、私の肌感覚でしかないですが、ずっと仕事でストレスが多かったとか、家庭の問題で大変だったという患者さんに乳癌と診断し、伝えなければいけないことが多いと感じることがあります。もちろん、“患者”になった方から伺うことですので、かなり大きなバイアスがかかっていると思いますが、乳癌だけでなく様々な病気とストレスには少なからず繋がりがあると考えることは妥当なことではないでしょうか。
人間の体には体内時計が存在し、1日を1サイクルとして身体の機能を動かしたり、休ませたり正しいリズムでまわっていて、このサイクルを乱すような生活をしていると睡眠障害や胃腸障害など身体の基本的な機能に障害が出てくることが明らかになっています。また乳癌に関連しては、夜勤シフトのある業務従事者は(看護師、国際線のフライトアテンダントなど)、乳癌リスクが高まると以前より言われていました。(最近の研究結果でアジア人には統計学的な差は出ませんでしたが。)やはり、不規則な生活が免疫機能など身体の基本的な機能に影響を及ぼしてしまうことに起因します。
仕事をコントロールしたり、何らかのストレスをすっきり取り除くということは、日々生活している中ではとても難しいことだと思います。なるべく、そうなるように努めることは大切ですが、乳癌は手術できる段階で見つかれば十分治る病気ですので、『検診に行くのも時間もない!』『疲れていて行く気もしない。。。』と思っている皆さんほど、せめて1年に1回は乳がん検診を受けるようにしていただきたいです。