悲しきネット記事
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医療に関する情報に関わらず、知りたいことをネットで検索するのは日常的なことと思います。乳癌を心配する方は、検索でひっかかったような記事を普通に信用しているのではないでしょうか。
私は乳腺外科医ですので、専門的な情報は別ですが、患者さんが読むような乳癌の一般的な記事をわざわざ検索して読むことはないです。でも、時々患者さんに『○○って書いてあったから。。。』と言われると、仕事帰りの電車の中で検索してみたりします。
どこかの医師が書いたとされていても、的外れな内容の記事を読んでがっかりしたこともあります。先日有名な方が亡くなった後に、某サイトのトップページに“ステージ4”“標準治療”など明らかに引っかかりやすい検索ワード使ったんだなと思われるタイトルの記事があり、内容を読んでみると『私はステージ4と診断されて、主治医にすぐに標準治療として手術するように言われて手術を受けたから今は元気です。。。』みたいな内容でした。
ステージ4は根治術適応外ですので、“すぐに手術です!”なんて勧める乳腺外科医は、一般的な治療を実施している施設にはひとりもいないと思います。他にもつっこみどころ満載な記事でした。たぶん、検索件数を伸ばすための架空のお話なんだろうと思いました。
でも、一般の方、特に本当に乳癌と診断を受けた患者さんがこんな類の記事で誤った治療へ導かれてしまうのは大きな問題で、笑い事では済みません。もし検索するなら癌治療専門の病院や責任ある学会、団体のサイトなどを検索するのが安全だと思います。
ただ、そのような施設などの情報はおもしろおかしく書いている訳ではありませんので少し難しく感じてしまったりして、どうしても一般の方は読みやすい記事を読んでしまうとは思います。そんな時は少なくとも半分くらいは疑って読んで下さいね。(なかなか難しいかも知れませんが。)