男性の乳がんについて
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先日、男性乳がん患者さんの交流会のお話が新聞記事になっていました。私も以前、男性乳がん患者さんを診させていただいていましたが、「他の癌と同じなのに、恥ずかしくて周囲に言いづらい」とか、「伝えたら、何で男性なのにと言われた」など、病気と闘うこと以外に、自分の回りの人たちとの関係性にも気をくばらないといけない現状が確実に存在することを知らされました。
男性でもそれなりの頻度(乳がん100~200例に1例程度)で乳がんを発症します。男性にも乳腺組織が痕跡的に、特に乳頭直下に存在しており、その乳腺組織から乳がんが発生するので、多くの男性乳がん患者さんは、乳頭部のしこりや皮膚病変などの症状を契機として病院を受診されます。
通常、60歳以上の高齢者に発生し(私の担当した患者さんは40歳~50歳代の方が多かったですが。)、女性乳がんより10~15歳高齢です。皮膚へ癌が浸潤することによる皮膚の赤みなどの症状に対し皮膚科で長い間治療していたが良くならない、また乳がんの可能性など考えてもおらずそのままにしていたなどで時々、乳腺外科を受診することが後回しになり、少し進行してしまっていることもあります。ただ、同じステージなら基本的には女性乳がんと治療方法や生命予後は変わりません。
男性は乳がんのしこりができれば、よほどふくよかな方であっても、女性と比べると自覚し易く、もし男性乳がんもあるということを知っていれば、早めに乳腺外科を受診することができると思います。知らないばかりに受診が遅れてしまってはもったいないです。
ただ、おそらくこのブログを男性に読んでいただいていることはまずないと思いますので、ご家族にある程度の年齢の男性がいらっしゃる場合、男性にも乳がんがあるんだよということを伝えていただき、また、たまにはお風呂上がりなどに、ちらっと横目で確認してあげてくださいね。