皮膚が赤いと乳がん??
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先日、40歳代の女性が『胸の一部が赤くなっていて、乳がんかもしれないと思って。。。』と受診されました。2、3ヶ月前にマンモグラフィと超音波で乳がん検診を受けており、何も指摘されなかったそうです。
この患者さんに限らず、乳房皮膚の一部が赤くなっていると受診される方が時々いらっしゃいます。よく伺ってみると『皮膚が赤くなったら乳がんかもしれないとネットで読んだので』と、多くの患者さんから聞こえてきます。しかし、結論として乳がんであったのは、そのごく一部の患者さんのみです。
乳腺外科の病気で皮膚が赤くなるような病気と言えば、乳がん(皮膚浸潤のある進行したものや炎症性乳がんなど)、一部の巨大良性腫瘍(葉状腫瘍が代表的、葉状腫瘍は悪性のこともありますが)、そして授乳期に多い乳腺炎や膿瘍、ほぼこれらのいずれかです。これらの乳腺外科的な病気によって皮膚が赤くなっているようなら、皮膚が赤くなっている方の乳房は正常な方と比べて硬くなっていたり、腫れていたり、明らかな左右差があります。
『皮膚が赤い』と受診される患者さんの中には、上に書いたような乳腺外科的な病気の患者さんが受診されることがたまにはありますが、多くは今回のように皮膚の一部が赤くなっていると訴えて受診する方で、皮膚の一部が赤くなっていたり、赤くなっている部分の“皮膚”が硬くなっていて、これを“胸のしこり”と訴えていらっしゃいます。これは、例えば皮膚のできもの(粉瘤やニキビなど)がひどくなると皮膚が硬くて赤くなりますよね。皮膚病変は、もちろん同じ皮膚の存在する乳房にもできるわけで、これを乳腺外科の病気と思って受診されることが多いです。乳房にできたとしても、これらは皮膚科的な病気です。心配しないでくださいね。
もちろん、自己判断は難しいですし、乳腺外科の病気であれば早めに治療する必要がある病気のこともありますから、気になったら一度受診してみてください。
[参考文献]
日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン
Q28.乳がんのなかには,通常の乳がんとは異なる特殊な病気がありますか。
https://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q28/
メディカルiタウン 病気事典[家庭の医学]
急性化膿性乳腺炎
http://medical.itp.ne.jp/byouki/030106000/
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