乳がんに関する噂とうそ 医学的根拠のあるサイトを参考に
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乳腺外科で診療をしていると、乳腺外科医として1回も聞いたことがないような乳がんについての“噂”を患者さんから聞くことがあります。正直なところびっくりするような内容だったりします。
これまで私が患者さんから聞いたことのあることで印象に残っているいくつかを挙げると、『四つ足動物のお肉を食べると乳がんになる』、『マンモグラフィでおっぱいを挟むと散らばって乳がんになる?乳がんが散らばる?』『おっぱいを動かすと乳がんのリスクが上がる』『きついブラで抑えると乳がんになる』などが一例です。
少なくとも、医学的根拠のある乳腺外科で常識的な内容であれば、乳腺外科に携わっている私を含めた乳腺に関わる医療従事者がそれを聞いたことが全くないなんてことはないと思います。明白な事柄であれば、乳がんのリスク因子としてガイドラインに掲載されていると思いますが、掲載されてはいませんし、少なくともそのような内容の症例報告なども触れたことはありません。
“マンモグラフィを撮影すると~”という巷の噂で思い浮かぶとすれば、マンモではなく“生検をすると乳がんが散らばる”ということでしょうか。それは、医原性のインプランテーションと言って、生検で乳がんの細胞を採取する時に、針の指し方によっては細胞の一部が病変でない部分に残存してしまい、局所再発の原因となる可能性がわずかながら存在するということです。このため、生検の際の乳房穿刺については十分注意を払う必要があります。
[ 参考リンク ]
一般社団法人日本乳癌学会 –
患者さんのための乳がん診療ガイドライン
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/
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