局所的非対称性陰影とは?
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先日、併用検診総合判定についてのブログでも少し触れましたが、マンモグラフィ検診の異常所見のひとつに“局所的非対称性陰影”があります。
非対称?なんだかよくわからない所見のひとつではないでしょうか?この所見で当院を受診される患者さんにも、まず初めにその意味するところを説明し、理解していただいてから検査を始めています。
局所的非対称性陰影(“FAD”とも言う)は、“正常乳腺の一部かも知れないけど、しこりの可能性もあるかな?”という所見です。マンモグラフィ画像には、正常乳腺組織(白)と脂肪組織(黒)がまだらに存在し(ほぼ白、ほぼ黒の方もいらっしゃいますが)、しこりも白いので、正常乳腺組織の一部が一見しこりっぽく見えることがあります。
“腫瘤(しこり)”や“石灰化”というマンモグラフィで代表的な所見がありますが、これらは例えばそのマンモグラフィを読影した医師のほとんどが指摘できるはっきりとした所見です。一方、“局所的非対称性陰影”については、上記2所見と同様ほとんどの医師が指摘するものもありますが、読影医によっては指摘したりしなかったりとあいまいなことも多いです。
“局所的非対称性陰影”で再検査の場合、超音波検査で確認をしますが、結果は下記のいずれかになります。
①正常乳腺組織の中に、密度が高い=より白く映る何か(病変)が存在
②正常乳腺組織が重なり、周囲よりも厚く=より白くみえてしまっただけ=正常
ただし、ほとんどは②であり、①本当の病変はごくたまにある程度です。
(①の場合は、前述しましたがおそらくほとんどの医師が所見ととるような場合です。②は所見としてはとらない医師も多い類の“局所的非対称性陰影(もどき)”だったりします。)
マンモグラフィは乳房を薄くのばして圧迫して撮影しますので、どうしても一部重なりが強くなってしまう場合や、もともと乳腺に左右差がある方も多いですので、マンモグラフィを撮るたび毎回要精査になって、精密検査で毎回問題ないと言われている患者さんもおられます。
このように、局所的非対称性陰影のほとんどは問題ないですが、指摘された場合は必ず超音波検査を受けて確認してくださいね。