偶然発見した乳腺腫瘤
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年の瀬のあわただしい時期ですので、今日はちょっとゆるりとした話題にしたいと思います。
当院は、他の医療機関からCTやMRIなど画像検査を依頼されて実施する施設なのですが、心臓CT検査のため50歳代の女性患者さんが、少し前当院検査部門を受診されました。その検査でたまたま乳房に腫瘤が確認され、外来診療中の私に連絡がありました。画像をみると、確かに左乳房全体を占める巨大腫瘤がありました。こんな時、もちろんその事実を伝えるべきではありますが、乳房のことは人によっては結構デリケートな問題で、よかれと思ってダイレクトに『しこりがあります!!』と言っても問題ないときと、例えば今回のように大きなしこりの場合は分かっていて自分の判断でそのままにしていることも結構あったりして、言い方によっては余計なお世話になることも意外とあります。そこで、その患者さんは心臓の超音波検査も同時に受ける予定でしたので、女性の超音波検査技師に検査の合間にそれとなく患者さんに心配ごとがないか、世間話をする雰囲気で聞いてもらったところ、乳房のことを話されたため、そのままスムーズに乳腺外来を受診していただけました。
その患者さんによると、しこりがあるのはわかっていたけど、家庭のことなどいろいろ忙しくて、もちろん気にはしていたけれどなかなか受診できなかったそうです。心臓の検査のついでといってはいけませんが、乳腺の検査も受けられてよかったと言って帰られました。
大きな腫瘍ではありましたが、結果は良性葉状腫瘍の診断でした。葉状腫瘍は再発など心配がないわけではありませんが、基本的には手術で切除すれば問題ありませんので、安堵しておられました。(少し前に無事に手術が終了したとの連絡がありました。)もし今回心臓の検査で当院を受診されなかったら、そのままにしていたと思うと本人より伺い、協力してもらった検査技師ともよかったねと話をしました。
このように、肺や心臓など別の検査で偶然乳房のしこりを見つけることがしばしばあります。そして、この患者さんのようにスムーズに治療に繋がると嬉しいものです。もちろん、皆さんにはその前に定期的な乳がん検診を受けることをお勧めします。
今年、そう言えば乳がん検診を受けなかったなと思われているこのブログの貴重な読者さんの中で、乳がんになる可能性のあるお年頃の皆さんには、当院でも乳がん検診を行っていますので、来年こそ必ず受けていただくことをお勧めします。検診による早期発見が大切です。
新年が皆様にとって実り多き良い年でありますように!