更年期障害と乳房や乳首(乳頭)の痛み

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先週、更年期障害の治療に関して書きましたが、今回もそれに関連したことを書きます。

私の乳腺外来に“乳房の痛み”や“乳首(乳頭)の痛み”を気にして受診される患者さんが結構な頻度でいらっしゃいます。特に閉経期前後の年齢の患者さんが多いように思います。そして、そのほとんどで痛みの原因となる乳腺外科的な異常がありません。治療が必要な乳腺外科的な病気により発生している痛みとすれば、ある程度進行した癌、または乳腺炎の可能性を考えますが、これらが存在するなら、マンモグラフィまたは超音波検査ですぐにわかります。

逆に2つの検査で原因となる病変がない場合、その痛みは少なくとも乳腺外科的な問題ではなく、それ以外の可能性を考えるほうが妥当です。閉経期前後の年齢であれば、主に神経痛や筋肉痛など整形外科的な問題(積極的な治療が必要な症状ではないかもしれませんが)、あるいは更年期障害の不定愁訴の一症状である可能性を考えます。ごく希な例として、狭心症や心筋梗塞など積極的な治療が必要な病気の症状として“乳房が痛い”と受診される場合もあり、患者さんの背景によっては注意が必要ですが。

更年期障害の不定愁訴には様々な症状があります。主な症状として倦怠感、動悸、のぼせやほてり、腰痛、肩こり、頭痛、耳鳴り、手足の冷えの他、乳房や乳首(乳頭)の痛みも代表的な症状です。当院の外来には、閉経期の患者さんで乳頭部のピリピリした痛みを訴えて受診される方が結構いらっしゃいます。マンモグラフィや超音波検査をしても、それに関連したような異常所見が認められることはまずありません。私が当院で診察をしているここ2年間で、乳房痛を訴えて受診された患者さんの中で、3人乳癌と診断した記憶がありますが、この3人とも乳がん検診を受けたことがなく、また痛みを訴える部位とはまったく違う部分に癌病変を発見しました。おそらくたまたま検診を受けたら見つかったということだと思います。

もちろん、乳腺外科的な異常がないことを調べた上で、もしピリピリ感が気になるようであれば一度、産婦人科の先生に相談してみることをお勧めします。

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