超音波検査の特性
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超音波検査の特性として、乳房が大きい場合(特に脂肪性分が多いタイプ)、乳房の深い部分(皮膚と反対の胸壁に近い部分)に存在する腫瘤は少ぼんやりしてしまうことがあります。当院の超音波検査機器は最新のものが導入されていますので、古いタイプの超音波機器より病変が検出し易いですが、やはり乳房が大きくて、胸壁に近い腫瘤像には気を遣います。
先日、40歳代後半の患者さんが検診で両側乳腺腫瘤を指摘され要精密検査になったと受診されました。この方も、脂肪性分の多いかなり大きな乳房の方でした。指摘されたほとんどは嚢胞や、線維腺腫など良性所見と考えるものでしたが、その中で1つだけ、胸壁に近い部分にややぼやけた丸い腫瘤がありました。一見すると濃縮嚢胞を疑う良性の所見でした。血流信号や腫瘤の硬さを確認しても悪性を疑わせる所見はありませんでしたが、マンモグラフィでも描出されていること、また超音波のややぼやけた印象が気になったため、穿刺してみたところ液体成分が確認できなかったので(濃縮嚢胞であれば、液体成分が確認できることが多いです。)、針生検を実施したところ乳癌の診断でした。
超音波検査は小さめの乳房の方については、画像がクリアでわかりやすいことが多いですが、大きくかつ脂肪性分の多い乳房の場合には安易な画像のみの診断だけではなく、少し気になった場合はやはり穿刺などで確認することも必要であることを改めて認識させていただきました。
超音波検査が良い検査であると不確かな情報から理解されている方が多いと常々感じています。超音波検査はどんな方でも見やすいわけではありませんで、検診ではご自身の乳房のタイプに合わせて、マンモグラフィ、超音波検査を選ぶようにしてくださいね。