乳頭部のしこりは超音波検査では判断しにくいことも
Posted on
先日、30歳代前半の患者さんが『乳頭の近くにしこりがある』と受診されました。3ヶ月ほど前に超音波検診を受けており、異常はなかったそうです。触診してみると、ご本人の訴える通り、右乳頭すぐ内側にφ10mm程のしこりを触れました。
そこで、マンモグラフィおよび超音波検査をしてみると、いずれの検査でも少し凸凹した形の腫瘤を認めました。良性腫瘍の可能性もありましたが、形状や腫瘤周囲の粗造な印象から乳癌の可能性が十分考えられたためすぐに針生検で確認しました。結果は乳癌の診断でしたので、専門的な施設に紹介いたしました。
3ヶ月前の超音波検診では何も所見指摘されなかったそうです。3ヶ月前に本当にあったのか、なかったのかはわかりません。ただ、今回の当院での超音波検査でも、乳輪すぐ下の皮下浅いところに腫瘤像が確認できたことはできたのですが、超音波検査では乳頭乳輪の真下が患者さんによってはぼんやり暗かったり、また白黒ごちゃごちゃしてわかりにくいことが時々あります。
この患者さんでも、白黒ごちゃごちゃしていて、かなり分かり難かったです。そこに病変があった場合、本当に注意して確認しないと、見逃してしまう可能性もないとは言えません。
この患者さんの腫瘤は皮下組織とほぼ同じ画像での色合いを呈してしましたので、もしかするとスルーしてしまうかもしれないねと、あとで検査スタッフと話しをしました。この患者さんは、超音波検査よりもマンモグラフィのほうが腫瘤の存在が明らかに確認しやすかったです。
受診する患者さんに度々言われることで、私が気になっていることのひとつに『超音波検査のほうがしこりは見つけやすいのですよね!』があります。
確かに、そうであることも多いですが、乳房のタイプ(脂肪成分の多い乳房)、また今回の患者さんのように乳頭直下に存在するしこりなどは、場合によってはマンモグラフィのほうが発見し易いことも多くあります。
ケースバイケースですが、どちらか一方の検査で検出し易い所見もありますので、マンモグラフィと超音波検査の両方で確認したほうがベターではないかと思います。