マンモグラフィは痛いからしたくない
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当院を受診される方の中には、乳がん検診を定期的に受けてはいるものの、超音波検査のみを受けておられる方が思いの外多い印象があります。日本人女性については、40歳以上2年に1回のマンモグラフィ検診が推奨されていることをそもそもご存じない方、また知ってはいるけど超音波検査のほうがさらに良いと思っておられる方といろいろですが、とにかく何となくマンモグラフィが敬遠されているように感じます。
その理由としてはやはり“マンモグラフィは痛い”というまことしやかな通説があるからではないでしょうか?私も毎年マンモグラフィを受けています。確かに痛くないとは言いません。
私の場合は、痛い年、痛くない年、だいたい半々という感じでしょうか。ただ、治療して治る段階で乳がんを見つけられるなら、全然我慢しますよ!というくらいです。(あくまで、私の場合ですが。)
同じ乳房に対してマンモグラフィを撮影しても、病変の検出に適切な良い画像、また病変検出が困難となる良くない画像、撮影技術などにより出来上がりもいろいろです。主に撮影する技師の技術、マンモグラフィ検査装置自体の差によって違いが生じます。より良い画像を撮影するため、検査技師は乳房を引き寄せ、引き出したり、薄く伸ばしたりします。また、乳房のポジションが決まった後、圧迫板で乳房を圧迫してさらに乳腺組織を薄くして撮影します。このポジション決めや乳房圧迫の際に皆さんは痛みを感じることになります。
受診される方から“今年の施設は痛かった”とか“いつもと違う人にしてもらったら痛くなかった”と伺うことが時々あります。その訴えは“痛い=下手な撮影”というニュアンスです。確かに、検査技師の経験が浅く、ポジションを決めるまでに他の技師よりあれこれ時間がかかってしまうというようなことがもしかしたらたまにはあるかもしれません。ただ、一般的には“この痛い=下手”は間違った認識です。
極端な話ですが、もし良い画像を撮影することより、検診を受ける方からクレームが出ないことを優先するのであれば、逆にいい加減に撮影すればよいのです。まあまあのポジショニングでまあまあ圧迫したら、恐らく痛くはないと思います。でも、それではより良い画像は撮影できません。そんな施設はないとは思いますが。。。
早期がんを発見する検診方法としてマンモグラフィは確率された良い検査法です。そのマンモグラフィを、痛みへの恐怖心のみから敬遠されている方がもしいらっしゃるなら、本当にもったいないと思います。ある程度の年齢の方で、マンモグラフィを受けたことがないという方は、痛みへの心配も含め、ぜひ一度検診施設に相談してみてください。
[参考ページ]
認定NPO法人乳房健康研究会
マンモグラフィと超音波検査
https://breastcare.jp/breast_about.html
公益社団法人 日本放射線技術学会 マンモグラフィ
https://www.jsrt.or.jp/data/citizen/housya/x-02/
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